「仕出し」はおもてなしの基本(川村岩松)

「仕出し」はおもてなしの基本

2014年6月13日

京料理・仕出し「菱岩」 川村 岩松

菱岩

菱岩

天保初年の創業で初代菱屋岩吉の名前より「菱岩」を屋号とした。今ではめっきり少なくなった、お客様より注文を受け、料理を作ってお届けする「仕出し業」を五代に渡り続けている。

三代目 川村松之助は鱧切り名人と言われ、 半月弁当を考案したとされる。 その三代目に仕込まれた四代目から菱岩の味と技を習得する。

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鱧料理をはじめ、半月弁当、深さに特色のある折詰なども継承しつつ、時代に合った内容や折詰の形、仕切りの入れ方を工夫した物を考案するなど、代々受け継いだ技に相違工夫を重ね、伝統を守りつつ今なお一層の料理の研究を日々重ねております。

 

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地域が祇園ということで、当代(五代目)が修行より戻った後は、お茶屋さんからも料理の注文を頂き、冷たい料理は冷たく、温かい料理は温かいうちにお届けできるようにと創意工夫を凝らし、お茶屋さんの台所と思って頂けるよう、日々、勉強しております。

お客様を、食材を、又栽培してくれた人を、周りで働いてくれる人を、これら全てを思いやる心をもって調理に携わり、旬の食材を使い、それらの味を最大に引き出す料理を手がけられるよう、努力しております。

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仕出し屋は、町衆に育てていただいた料理屋です。ご近所の大店(おおだな)のご主人の晩ごはんに「好みのもん二、三品作って持ってきて」というような、元来町衆にとって隣近所の身近な存在でした。昔は、朝仕入れた魚を天秤棒で担いで、ご近所の方に御用聞きに回りました。それを、昼食や夕食にお届けしに行っておりました。又、同じ料理でもお客様の好みを聞き、味を変えてお届けしておりました。それらが時代と共に変化し、普段は質素に生活をしていますが、お祭りや、慶弔時には、「仕出し屋」に注文するようになりました。

hishiiwa05京都では昔から「仕出し」はおもてなしの基本で、懐石料理をはじめ松花堂、半月、折詰弁当とお客様の用途に合わせて料理を調整しお届けした方々に喜んで頂けるよう工夫するものだと思います。

現在では「仕出し」は、お客様はもとよりそのお客様がおもてなしをされる際に注文を頂くことが多々あります。

実際にお目にかかることのない方に料理を提供するという独自の文化があると思います。だからこそ、注文を頂く方に料理の趣向やお客様のニーズにあった料理を提供することで、お客様との関係を築き信頼を得て、これからも日本のおもてなし文化を京の食文化を通して支えていきたいと思います。

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