花街を支える「ひと」「わざ」「もの」

芸妓や舞妓を引き立てる髪型やきもの、三味線や笛などの邦楽器、さらに、舞台や座敷を飾るしつらえなどには、髪結い師、着付師のほか、きものや帯、かんざしなどを作る伝統工芸の職人の「わざ」が凝縮している。職人の手から手へと受け継がれてきたこれらの「わざ」は、花街をはじめ京都の雅な文化の中で洗練され、精緻を極めてきた。

このように花街では、至るところに京都の多彩な伝統工芸を見ることができ、高い技術を誇る京都の伝統工芸が花街の文化を支えていると言える。また同時に、花街における伝統工芸に対する需要は、ものづくり都市・京都の活性化につながり、このことは日本文化の継承・発展にも寄与していると言える。

<花街を支える「ひと」「わざ」「もの」の具体例>
「きもの」撮影・溝縁ひろし
 正装の黒紋付や京友禅などの季節を感じさせる装いで、花街を華やかに彩る。
「帯」
 西陣織などの舞妓の「だらりの帯」は、2本の帯端が足元近くまで垂れ下がった長いもの。帯の下端には舞妓を預かる置屋の紋が入る。
舞妓は、紋付以外のきものには「ぽっちり」(普通の帯留めに比べて大きく、装飾も珊瑚や翡翠などがあしらわれ豪奢)という帯留めをする。
撮影:溝縁ひろし「かんざし」
 舞妓の髪を飾る精巧な細工の「かんざし」は、季節に合わせて毎月変わる。お正月や祇園祭、顔見世など行事に合わせたものもある。
「かつら」
 舞妓の髪型は地毛で結うが、芸妓になると「かつら」に替わる。髪型は「島田」
「おこぼ」撮影:溝縁ひろし
 舞妓だけが履く、高さ10センチほどある桐でできた履物。「こっぽり」と風情ある音を響かせ、舞妓独特のおぼこさを演出する。
「白粉(おしろい)・紅」
 芸妓や舞妓の化粧は、鬢付油で下地を作り、その上に水で溶いた白粉を刷毛に付けて塗る。紅は水溶きのものを使う。
「籠」
 小物を入れるのは籠。中には扇子、櫛、紅、鏡などが入っている。
「名刺」
 芸妓や舞妓が使う季節の柄などが入った木版手刷りの名刺。最近では、シール状の「千社札」が名刺代わりに使われることが多い。
「扇子」
 芸妓や舞妓が帯に挟んで常に携帯する扇子のほか、舞のときに使う舞扇がある。
「団扇」
 初夏の挨拶として、料理屋などのお得意先に配られ、芸妓や舞妓の名前が入った華やかな「京丸うちわ」が店先を飾る。
「邦楽器」
 三味線、小鼓、大皷、太鼓、笛など
「髪結い師」
 舞妓の髪は地毛で結う。「割れしのぶ」(舞妓初期)、「おふく」(舞妓3年目位から)、「先笄(さっこう)」(衿替えの前)といった年数に応じて変わる髪型のほか、「奴島田」(正月や八朔などの正装用)、「勝山」(祇園祭の時)といった特別な髪型もある。
「着付師」
 芸妓や舞妓の衣装の着付をする人。「男衆」のいる花街では男衆の仕事である。
「男衆」
 着付だけでなく、店出し、衿替えなどの儀式の際に一緒に挨拶に回るほか、芸妓や舞妓の身の回りの世話をする。現在では、祇園甲部に5人程しかいない。
「化粧師」
 舞踊公演時などに芸妓や舞妓の化粧を担当する人
<現状と課題>
京都の「ひと」「わざ」「もの」が花街を支えるとともに、花街における需要が、それらを支えているという側面もある。そのため、その需要の低下は京都の伝統産業にも影響を与えている。髪結い師や着付師など、花街の文化を支える後継者の不足も危惧されている。
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