花街が継承する伝統伎芸

芸妓や舞妓は、一流の師匠の指導の下、稽古場※などで舞・踊り、長唄、小唄、常磐津、清元、鳴物(小鼓、大皷、太鼓)、笛、琴などの芸事に精進するほか、茶道、書道、華道などの教養を身につける。

舞踊公演は、1872年(明治5年)の京都博覧会に訪れる客へのおもてなしとして開催された「都をどり」(祇園甲部)と「鴨川をどり」(先斗町)に続き、1950年(昭和25年)初演の「京おどり」(宮川町)、1952年(昭和27年)初演の「北野をどり」(上七軒)、同年初演の「祇園をどり」(祇園東)、と各花街で続けられている。

1994年(平成6年)に平安建都1200年を祝う催しとして開催された五花街合同公演は、京都の初夏の風物詩ともなっている。

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また、芸妓や舞妓の習い事の一つである茶道は、花街のおもてなしの重要な要素であり、礼儀作法の基本として、大切に受け継がれ、舞踊公演時などに設けられる茶席では、芸妓や舞妓が点前などで客をもてなしている。

このように、京都の各花街においては、伝統伎芸をはじめとする伝統文化が継承されている。

※ 稽古場は各花街にあり、そのうち八坂女紅場学園(祇園甲部)、東山女子学園(宮川町)は学校法人となっている。

<流派と公演>

花街名 流派 公演
祇園甲部 京舞井上流 都をどり、温習会
宮川町 若柳流 京おどり、みずゑ会
先斗町 尾上流 鴨川をどり、水明会
上七軒 花柳流 北野をどり、寿会
祇園東 藤間流 祇園をどり

<五花街合同の公演>

公益財団法人京都伝統伎芸振興財団(おおきに財団)主催 五花街合同公演

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<現状と課題>
伝統伎芸を深く楽しむためには、観る側の文化的素養も必要であるが、今日、舞・踊り、邦楽などに触れる機会が少なく、日本の伝統伎芸を鑑賞して理解できる人が減少してきている。子どもの頃から日本の伝統伎芸に触れる機会を増やすなど、すそ野を広げていく取組が求められる。
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